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公開日: 2025.02.14  | 更新日: 2025.03.02

B2Bのデジタルプロダクトデザイナーはどのようにキャリアを作っていくのか?

この記事は、B2B SaaSのプロダクトデザイナーを目指したいと思っている方に向けて、キャリアパスと必要なスキルについて言語化を試みるものです。

近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中で、B2B SaaSの需要はますます高まっています。そして、プロダクトの使いやすさによってユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させ、顧客のビジネス課題を解決するためのデザインを行うB2B SaaSのプロダクトデザイナーの採用市場での需要も高まっていると感じています。

この記事を書いている私自身は、10年ほどウェブアプリケーションや業務アプリケーションに従事しているプロダクトデザイナーですが、これを正解として示すつもりは毛頭なく、あくまで一つの参考になればと思っています。


B2B SaaSプロダクトデザイナーのキャリアステージ

B2B SaaSプロダクトデザイナーのキャリアステージは、概ね以下の3つに分けられます。

1. ジュニアレベル

デザインの基礎知識を習得し、先輩デザイナーの指示のもとで実務経験を積む段階です。主な業務内容は以下の通りです。

  • UIデザインツール(Figma, Sketch, Adobe XDなど)を用いたデザイン作成

  • ウェブサイトやアプリケーションの部分的なUIデザイン

  • デザインシステムへの貢献

  • ユーザーリサーチの補助

  • データ分析の補助

  • 上司や先輩デザイナーからのフィードバックをもとに、スキルアップ

この段階では、基本的なデザインスキルに加えて、コミュニケーション能力学習意欲も重要になります。積極的に質問したり、新しい情報や技術を学ぶ姿勢が求められます。

2. ミドルレベル

複数のプロジェクトを経験し、自身でデザインの企画・立案から実行、評価までを行える段階です。主な業務内容は以下の通りです。

  • プロジェクトのリード

  • UXデザイン

  • ユーザーリサーチ、ユーザーインタビューの実施

  • ペルソナ設定、カスタマージャーニーマップ作成

  • プロトタイピング、ユーザビリティテスト

  • 要望やデータ分析に基づいたデザイン改善

  • チームメンバーとの連携、関係部署との調整

  • 後輩デザイナーの指導・育成

この段階では、ユーザーリサーチデータ分析のスキルが求められます。ユーザーのニーズを深く理解し、データに基づいたデザイン提案を行うことで、プロダクトのUX向上に貢献します。また、チームメンバーや関係部署と連携し、プロジェクトを推進していくためのコミュニケーション能力調整能力も必要になります。

3. シニアレベル

豊富な経験と高い専門性を活かし、プロジェクト全体をリードする段階です。主な業務内容は以下の通りです。

  • プロジェクトマネジメント

  • ロードマップにアラインされたデザイン戦略の立案

  • ユーザーだけでなく開発者をも熱狂させるデザイン提案

  • 組織マネジメント

  • 後進の育成とサクセッションプランの設計

  • 社外発信や講演、執筆活動

ジュニアからミドルへのステップアップに必要なスキル

ジュニアレベルからミドルレベルにステップアップするためには、以下のスキルを磨くことが重要です。

1. UIデザインとUXデザインのハードスキル

ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)は、どちらもプロダクトの使いやすさに大きく影響する要素です。

  • UIデザイン:

    ユーザーがプロダクトを操作する際の見た目や使い勝手を設計します。ボタンの配置、色の組み合わせ、フォントの選択など、ユーザーが使いやすく操作できるインターフェースをデザインします。

  • UXデザイン:

    ユーザーがプロダクトを通して得られる体験全体を計画します。ユーザーがプロダクトをどのように利用し、どのような感情を抱くのかを分析し、より良い体験を提供できるようデザインします。

2. ユーザーリサーチスキル

ユーザーリサーチは、ユーザーのニーズや行動を深く理解するための調査です。ユーザーインタビュー、アンケート調査、行動観察など、様々な手法を用いてユーザーの行動を分析し、プロダクト改善に活かします。

3. データ分析スキル

アクセスログやユーザー行動データなどを分析し、プロダクトの改善に役立てるスキルです。RedashやGoogle Analyticsなどの分析ツールを使いこなし、データから課題や改善点を見つけ出す能力が求められます。

4. コミュニケーション能力

チームメンバーや関係部署と円滑にコミュニケーションを図り、プロジェクトをスムーズに進めるために必要なスキルです。自分の意見を明確に伝え、相手の意見を丁寧に聞き取る能力が求められます。

5. ドメイン知識

B2B SaaSプロダクトデザイナーとして活躍するためには、担当するプロダクトの業界や業務に関する知識も必要です。例えば、人事労務管理システムのデザイナーであれば、人事労務に関する基礎知識や関連法規などを理解しておく必要があります。

スキルアップのための具体的な方法

これらのスキルを向上させるためには、以下の方法が考えられます。

成果物に対してフィードバックを送りあう

近くにいる開発者や先輩・同僚のデザイナーから日常的に成果物に対してフィードバックを自分から受けに行ったり、他のデザイナーからの成果物に対してフィードバックを送り合う。

フィードバックの言語化を繰り返すことで、デザインの意図を言語するスキルが身につきやすくなります。

経験者とペアでデザインプロセスを実践する

先輩のミドル・シニアレベルのデザイナーとペアでプロジェクトなどに参画し、タスクを分担したりモブでUIデザインを作成する。

プロジェクトのリードや、デザインを意思決定するためのファシリテーションなどのコミュニケーションスキルが身につきやすくなります。

オンライン学習プラットフォームの活用

オンライン学習プラットフォームでUIデザインやデータ分析に関するコースを受講し、自宅で隙間時間などを使って自分のペースで学習する。

デザイン原則などの知識やデザインツールの操作方法を学び、効率的にデザインプロセスを運ぶためのハードスキルを養います。

書籍やブログ記事を読む

デザインやビジネスに関する書籍やブログ記事を読み、デザインやドメインの知識を深めます。

セミナーや勉強会に参加する

業界の最新動向やスキルアップのための情報を獲得します。他の組織のデザイナーや、自分の目指すキャリアモデルとなるデザイナーや同じようにキャリアに悩んでいるデザイナーと知り合うきっかけにもなります。

積極的に情報発信する

ブログやSNSで、デザインに関する情報発信を行ったり、ポートフォリオサイトやDribbbleなどのプラットフォームで、自分の成果物を公開します。公開した情報をきっかけに、新たなコミュニケーションが始まることもあります。

まとめ

B2B SaaSプロダクトデザイナーは、ユーザーの課題解決に貢献できるやりがいのある仕事です。この記事で紹介したキャリアパスや必要なスキルを参考に、B2B SaaSプロダクトデザイナーとして多様なキャリアを築いてくれる仲間が増えるといいなと思います。


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この記事を書いた人
うえんつ
B2B領域のSaaS・アプリケーション開発などを組織で取り組むことが得意なプロダクトデザイナーで、このブログのオーナーです。
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