「こうして社員はやる気を失っていく」という書籍を読む機会があったので、自分なりの所感をまとめるための備忘録です。
書籍の紹介
「こうして社員はやる気を失っていく」は、株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長の松岡保昌氏によって執筆された書籍です。
企業の競争激化に伴い、人材の確保・育成・定着は企業成長に不可欠な要素となっており、社員のモチベーション維持が重要な課題となっています。
本書では、多くの企業が社員のモチベーションを高めることに注力する一方で、やる気を下げる要因を放置している現状を指摘しています。そして、やる気を失わせる上司や組織に共通する問題点を具体的に示し、心理学的な知見に基づいた改善策を提案しています。
書籍の構成と主な内容
本書は4章で構成されており、それぞれ以下の内容を扱っています。
第1章 企業の格差は「モチベーション」に起因する
企業の競争力の違いは、社員のモチベーションの差に起因する
モチベーションを高めるには、まず下げる要因を取り除くことが重要であること
第2章 社員がやる気を失っていく上司に共通する10の問題と改善策
部下と向き合わず、話を聞かない、一方的な指示、評価が曖昧など、やる気を失わせる上司の行動パターンを解説
各問題点に対する具体的な改善策を提示
第3章 「組織が疲弊していく」会社に共通する15の問題と改善策
個人の負担が大きい、責任の所在が不明確、過去の成功体験に固執するなど、組織を疲弊させる要因を解説
組織文化や風土の改善策を提示
第4章 こうして社員が変わり、会社も変わっていく〜「組織心理」に基づいたマネジメント
心理的安全性の確保、自己効力感の向上、エンゲージメントを高めるマネジメント手法を解説
所感
本書を読んで、社員のモチベーションは様々な要因によって影響を受けることを改めて認識しました。特に、上司の言動や組織の風土は、社員のやる気を大きく左右する要素であると感じました。
従来、モチベーションを高めるためには、給与や昇進などの外的報酬を与えることが有効と考えられてきたようですが、本書では心理的安全性や自己効力感といった内的報酬も同様に重要であり、社員一人ひとりが自分の仕事に意義を感じ、成長を実感できる環境を作ることで内発的なモチベーションを高めることができるとされています。
こうした社員のモチベーションに関する問題と改善策が、合計25個のケーススタディと背景理論ともに具体的に紹介されています。中には自分のマネジメントの立場として耳が痛い問題もいくつかありました。
また、本書では、モチベーションを「上げる」ことよりも、「下げない」ことに重点を置くべきだと述べられているのが印象的でした。社員のやる気を削ぐような言動や制度をなくすことが、モチベーション維持の第一歩であると。
さらに、本書では「企業文化」とモチベーションの関係性についても論じています。企業文化とは、その企業に共通する価値観や行動規範、考え方などを指します。強い企業文化を持つ企業は、社員の帰属意識や一体感を高め、モチベーション向上に繋がる可能性があるからこそ、長期的に差がつきやすい要素なのだと思いました。
全体を通して、組織人事やマネジメントを取り巻く環境は、理論レベルで頭では理解できても、結局のところ実際の人や組織の状況はもっと複雑で変えられないことも多く、長期的な変化を伴う有機的なものに対峙している構造であることから、短期的には何を救って何を救わないかの連続になり、それを繰り返す(付き合い続ける)ことで価値を作り出そうとしている性質上、自分たちが疲弊してしまうリスクをも理解する必要があるドメインだと思いました。
まさに永遠のテーマですね。