figma-config-2025-updates
公開日: 2025.05.16  | 更新日: 2025.05.16

Figma Config 2025 発表まとめ

Figma Config 2025では、FigmaがデザインツールからクリエイティブなOSへと大きく進化することを示唆するかのように、コード生成、ウェブサイト構築、マーケティングコンテンツ制作までをカバーする新機能が複数発表されました。

正直なところ、Figma Config 2025の発表内容から、Figmaというプラットフォームの大きな方向転換を示すものだと感じました。「あらゆる作業が完結する唯一の場所」というビジョンのもと、デザイン市場からウェブ開発、AIコーディング、マーケティングコンテンツ作成といった隣接市場へと積極的に進出したいということなのだと思います。

ここでは、特に注目すべき新機能と既存機能の強化について、実用的な視点から整理してみたいと思います。

1. 主要な新プロダクト:デザインからコード、公開まで

Figma Sites: デザインからウェブサイト公開までを一元化

Figma Sitesは、デザイナーがFigmaのデザインファイルから直接コーディング不要でレスポンシブなウェブサイトを構築・公開できる新機能です。「デザイナーがコードを書かずにサイトを公開できる」というのは、類似のプラグインが複数存在することからも以前から求められていた機能でしたので、念願だった方も多いのではないでしょうか。

主な特徴:

  • スマートブロックやレイアウトツールでレスポンシブデザインを効率的に構築

  • 50種類の既製ウェブサイトテンプレートが利用可能

  • マーキーやスクロールパララックスなどのインタラクションを数クリックで適用

  • Figmaから直接ウェブに公開可能(figma.siteのサブドメインか、カスタムドメイン)

これまでだとStudioやWix Studioなどを使う必要がありましたが、Figmaの強力なデザインツールとシームレスに連携できる点が大きな強みですね。特に小規模チームやフリーランスのデザイナーにとって、ツール間の切り替えなしでデザインから公開までできるのは大きな効率化になるのではないでしょうか。

Figma Make: AIによるコード生成と機能プロトタイピング

Figma MakeはAnthropicのClaude 3.5/3.7を活用し、自然言語のプロンプトからコードやインタラクティブなUIを生成するツールです。五里霧中のコーディング世界に足を踏み入れることなく、アイデアを形にできる点が魅力的です。

主な特徴:

  • プロンプトベースで機能やインタラクションを実装

  • Figmaのデザインファイルを基にインタラクティブなプロトタイプを構築

  • AIチャットインターフェースで対話的に改良可能

  • 作成したプロトタイプをウェブサイトとして公開可能

デザイナーはコーディングスキルがなくても高忠実度のプロトタイプを作れるようになります。デザインと開発の間のギャップを埋める可能性を感じますが、生成されるコードの品質や実用性はベータ版なのでまだ見極める必要がありそうです。

Figma Buzz: マーケティングコンテンツ制作の効率化

Figma Buzzはブランドチームとマーケティングチームの連携を強化し、ブランドガイドラインに準拠したマーケティングアセット制作を効率化するためのプラットフォームです。デザイナーとマーケターの間で起きがちな「デザイン崩れ問題」を解決してくれそうで期待しています。

主な特徴:

  • デザイナーが作成したテンプレートをマーケターが活用

  • Focused Editingモードで特定の部分のみ編集可能

  • AI画像生成・編集やコピーライティング支援機能

  • スプレッドシートから数百・数千のアセットを一括生成

Canvaのようなツールと競合する部分もありますが、Figmaエコシステム内での一貫性とブランド管理が強みになりそうです。

Figma Draw: イラストレーション制作をFigma内で完結

Figma Drawは、Figma Designに直接統合された高度なベクターイラストレーションツール群です。これにより、外部ツールに切り替えることなく、Figma内でより精密で表現力豊かなイラストレーションの作成が可能になります。より精緻な調整を要するロゴやアイコン作成のためにAdobe Illustratorなどに切り替える必要があった方にとっては、この統合は作業効率化に直結しそうです。

主な特徴:

  • 改良されたベクター編集ツール(ブーリアン演算、なげなわツール、シェイプビルダーなど)

  • 多様なブラシスタイルとパターンフィル、テクスチャ機能

  • パス上のテキスト配置や可変線幅など、表現の幅を広げる機能

  • イラストレーション専用の作業スペースとツールの集約

  • デザインシステムとの連携(アート用スマートコンポーネント、カラーバリアブル)

Illustratorのような専門ツールと比較すると機能の深さではまだ差があるかもしれませんが、日常的なイラスト制作のニーズを満たせる機能が揃っているように思います。特に、アセットがベクター形式でウェブに最適化された状態を保てるので、開発者との連携がよりスムーズになるのではないでしょうか。

Figma Drawは全てのプランで利用可能とのことですが、有料プランではフルシートが必要になるようです。


2. 既存機能の進化:デザインワークフローの強化

Gridレイアウト:2次元レイアウトの導入

Auto Layoutに「Grid」というレイアウトフローオプションが追加され、行と列からなる2次元グリッドに基づいたレイアウトが構築できるようになりました。正直なところ、これまでのAuto Layoutだけではカード型レイアウトやギャラリーの実装が少し面倒だったので、この機能は日常的なデザイン作業の効率アップになるかもしれません。

主な特徴:

  • レイヤーをテーブル状の行と列に整理

  • オブジェクトを複数のセルにまたがって配置可能

  • 行/列数、間隔、パディングの定義、固定トラックサイジングが可能

  • Dev Modeでは「グリッドCSSに整列」機能でスムーズなハンドオフを実現

この新機能はオープンベータ版として、全てのプランで利用可能のようです。有料プランではフルシートが必要で、Design、Sites、およびBuzzとSlidesのデザインモードで使用できます。

AI機能の拡張:デザインプロセスのインテリジェント化

Figmaプラットフォーム全体にわたるAI機能の拡張が発表されました。「First Draft」や「Rename Layers」といった機能は地味ですが、日常的な作業効率化につながりそうです。

主な特徴:

  • テキスト自動提案や画像編集などの新ツール

  • 「コンテンツ置換」機能の出力品質向上(オートレイアウトが不要に)

  • AI機能のFigma Design、FigJam、Slides、Sites、Buzzへの展開

  • SitesでのAIアニメーション、MakeでのAIコード生成、BuzzでのAIコンテンツ生成

  • AIプロトタイピングやビジュアル検索機能

これらのAI機能は、反復的で時間のかかる作業を自動化し、クリエイティブな作業に集中するための時間を生み出してくれそうです。ただ、AIの能力にはまだ限界もあり、生成結果は適切に評価・修正する「目」が必要だと感じます。

全ての有料プランでオープンベータ版として提供されており、管理者はAI機能へのアクセスとコンテンツトレーニングを制御できます。ベータ期間中は無料ですが、将来的に有料化される予定で、EducationプランおよびFigma for Governmentプランでは利用できないようです。

Dev Modeの進化:デザイナーと開発者の連携強化

Dev Modeも継続的に機能強化されているようです。新しいGrid機能に対応した「グリッドCSSに整列」機能や、ハンドオフを改善するための「開発準備完了」や「フォーカスビュー」といった新機能が追加されています。

主な特徴:

  • 新しいGrid機能に対応した「グリッドCSSに整列」機能

  • デザインモードでも注釈(寸法、仕様、メモなど)の作成が可能に

  • 「開発準備完了」や「フォーカスビュー」でのハンドオフプロセス改善

  • GitHubとの「コード対応アセットとより緊密なワークフロー連携」

開発者との協働がより円滑になり、誤解や手戻りが減りそうです。このあたりは開発者と日常的にコミュニケーションするステークホルダにとって良い改善ではないでしょうか。個人的には、Annotation機能がViewer権限でも閲覧できるようになってくれれば特にいうことはありません。


これからのFigmaとデザイナーの未来

Figma Config 2025の発表を見ると、FigmaがデザインツールからクリエイティブなOSへと進化しようとしていると感じます。これは私たちデザイナーの役割や必要なスキルセットにも影響を与えそうです。

デザイナーの活動領域は、Figma Sitesによるウェブサイト公開、Figma Makeによる機能プロトタイピング、Figma Drawによる高度なイラスト制作など、より広がりそうです。一方で、ウェブ技術やAIとの連携といった新しいスキルは一層求められるようになるでしょう。

私自身、エンジニアからデザイナー、そしてマネージャーへと非線形なキャリアを歩んできた身としては、このようなツールの進化は感慨深いものもありますが、同時に「デザイナーの専門性とは何か」という問いも投げかけているように感じます。

AIが実行可能なタスクを自動化する一方で、デザイナーにはより戦略的、システム思考的な視点が求められるようになるのかもしれません。ただサイトを作るだけでなく、ビジネスの文脈でデザインの意思決定ができるスキルが重要になってくると思います。


最新の記事を見る
広告
この記事を書いた人
うえんつ
B2B領域のSaaS・アプリケーション開発などを組織で取り組むことが得意なプロダクトデザイナーで、このブログのオーナーです。
今の関心事
Figma・UIデザイン・UXリサーチ・QOL・旅行
広告