WSDレポート9:ファシリテーション
この記事は、青山学院大学大学院主催のワークショップデザイナー育成プログラムの課題として、動画形式の講座を受講して筆者個人の考えをまとめたレポートです。今回は「ファシリテーション」について書いています。
私がこれまで経験したワークショップに類する活動の中で感じたファシリテーションの中の「伝える(デリバリー)」 の工夫について、印象に残っていることを3つ書き出してみたいと思います。
参加方法や目的をまとめた資料を予め共有する
これは、限られた時間やリソースの中で活動を最大化するための工夫です。具体的には、WSDのオフライン講座の日時・場所・持ち物などを予めメールで参加者に伝えることがあると思います。これが十分でないと、教室にたどり着きづらく遅刻してしまったり、準備に必要なものを忘れてしまい当日のコミュニケーションコストが上がってしまうことで開始が遅れてしまったりして、結果的にワークショップにおける活動の可処分時間が減ってしまう原因になると思いました。
以前、私が所属する企業のユーザー向けのワークショップで、オンライン開催時に事前に周りの音が入らない場所や話しても問題ない場所で実施すること予めを伝えなかったため、話し声が聞き取りづらかったり、話せる場所へ移動してもらう必要があり開始が遅れるといったことがあり、これらの経験からも参加に必要な事前情報は丁寧に伝えるようにしています。
目的に応じて伝える内容をコントロールする
これは、事前に伝える内容を詳細にしすぎるとかえって目的を達成しづらくなってしまうことを回避するための工夫です。具体的には、あるプロダクトのフィードバックをもらうためのユーザー向けのワークショップで、実際にウェブアプリケーションのプロダクトを操作してもらう際に、事前に操作内容を伝えてしまったことで、参加者のかたが「良かれ」と思って事前に対象のプロダクトの機能について予習をしてきてくださり、当日は探索的な操作が行われずタイムアタッ クのように素早くタスクを完了されたり、または迷っている「フリ」を演じさせてしまい、予定調和的なフィードバック会になってしまったことがありました。
以降は、具体的に「事前に予習しないでほしい」点や、内容をあえて伏せることで予習をさせない工夫を行っています。
参加の期待値を言語化する
これは、事前に参加してもらう際のモチベーションについて、あえて期待値として言語化しておくことで一定水準まで高めようとする工夫です。具体的には、WSDでいうところの「この授業に参加しない場合、補講を受けてもらうことになる」といった、参加してほしい程度を具体的に言語化することなどです。
その際のポイントとして、情緒的な訴求をするのか、または仕組みとして訴求するのか伝え方のコントロールがあると思います。前述の例では仕組みとして訴求することで、具体的な参加しないことによる自分への影響がイメージしやすいため、参加するモチベーションとして成立しやすいと思う一方で、強制力が強すぎるとストレスになりやすく扱いには注意が必要と思いました。
情緒的な訴求については、WSDの例で言うとオリエンテーションについて、メールでは「参加は任意です」としつつ「皆さんに安心して受講をスタートしていただけるよう、事務局よりカリキュラムの説明、受講生同士の交流会等を企画しています。」とあり、参加者の不安を解消できるというメリットを提示することで近しいモチベーションの参加者を集める工夫がされていると思いました。