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公開日: 2025.12.05  | 更新日: 2025.12.05

プロダクトデザインにおけるユーザーインタビューの目的と設計プロセス

プロダクトデザインを学ぶ学生や、実務に入りたてのデザイナーにとって、最初の壁となるのが「ユーザーリサーチ」ではないでしょうか。UIの見た目を作る前に、なぜリサーチが必要なのか。そして、具体的にどう行えば「使える」データが得られるのか。

今回は、プロダクトデザインのプロセスにおけるユーザーインタビューの位置付けと、具体的な設計手法、そして実践のコツについてまとめます。

1. なぜインタビューをするのか?

デザインの現場でやりがちな間違いの一つが、「このアプリが欲しいですか?」とユーザーに聞いてしまうことです。

私たちがインタビューを通して知りたいのは、ユーザーの「意見(Want)」ではなく、「現在の行動(Fact)」とその背景にある「課題(Pain)」です。事実に基づかないデザインは、デザイナーの自己満足で終わるリスクが高くなります。

仮説と事実の検証

例えば「フードロス」をテーマにしたプロダクトを考える際、以下のような仮説を立てたとします。

仮説: 学生は、自炊で食材を余らせて捨てることに「罪悪感」を感じているはずだ。

この仮説を検証するために聞くべきことは、「罪悪感がありますか?」というYes/Noクエスチョンではありません。

  • 知りたい事実

    • 本当に食材を捨てているのか?(頻度は?)

    • 捨てるとき、その瞬間に何を感じているのか?(本当に「罪悪感」なのか? 実は単に「面倒くさい」「もったいない」と感じているだけではないか?)

    • 食材管理のために、現在行っている工夫(代替手段)はあるか?

このように、ユーザーが「無意識に行っていること」や「建前ではない本音」を探るのがインタビューの目的といえます。

2. 何人に聞くべきか?

インタビュー対象者の人数については、Nielsen Norman Groupなどの機関による検証された知見として、一つの目安が存在します。

定性調査における「5人」の法則

ユーザビリティテストやデプスインタビューにおいては、5人のユーザーに調査を行えば、主要な課題(ユーザビリティの問題やニーズのパターン)の約80〜85%を発見できると言われています。(参考:Why You Only Need to Test with 5 Users

同じ属性(ペルソナ)のユーザーであれば、6人目以降からは得られる新規の発見が逓減していく傾向にあります。そのため、限られたリソースで効率的にリサーチを行う場合、まずは5人を目標に設計するのが合理的です。

もちろん、ターゲット属性が複数に分かれる場合(例:学生と社会人、初心者と熟練者など)は、それぞれのグループで5人程度が必要になります。

3. インタビューの設計構造

行き当たりばったりの質問では、深いインサイトは得られません。以下は、「導入→本題→まとめ」の流れでまとめた基本的なインタビューの構成例です。

  1. 導入(アイスブレイク)

    • 挨拶、趣旨説明、許可取り(メモや録音)

    • ここでの目的は、相手の緊張を解き、信頼関係(ラポール)を築くことです。「正解はないので、正直な話を聞きたい」というスタンスを伝えます。

  2. 本題(現状の行動・課題の深掘り)

    • いきなり核心に触れず、まずは周辺の事実から固めます。

    • 「普段、週にどれくらい自炊しますか?」といった具体的な行動事実を確認し、徐々に「食材を使い切れなかった具体的なエピソード」へと焦点を絞ります。

  3. クロージング

    • お礼と、言い残したことがないかの確認を行います。

「Why」の深掘り

本題の中で最も重要なプロセスが「深掘り」です。ユーザーの発言に対して「それはなぜですか?」を繰り返すことで、表面的な事象の奥にある根本的な価値観に到達できます。

  • 発言:「食材を捨てるのは面倒くさい」

  • 深掘り:「その『面倒』というのは、具体的にどの作業を指していますか?(分別の手間? ゴミ出しの頻度?)」

4. 質の高いデータを引き出すTips

実践において、デザイナーが意識すべき振る舞いは以下の4点です。

  1. 話すのは2割、聞くのが8割

    • 自分が話すのではなく、相手に気持ちよく話してもらう場(余白)を作ります。インタビューは営業や説明の場ではありません。

  2. 言い換えや誘導をしない

    • 考えながら回答される場合などで、相手が言っていることが分かりづらく、「〜〜〜ということでしょうか」とつい言い換えてみたり、「つまり〜〜〜をしたいということでしょうか?」と言ったように回答を誘導するような質問をしたくなる場合がありますが、これは事実情報を塗り替えてしまう(フォルスメモリー)可能性が高いため、推奨されません。

    • なるべく相手の言葉の範囲での理解に努め、もしそうした言い換えなどをせざるを得ない場合などは、メモにその旨を残すようにしましょう。

  3. 沈黙を恐れない

    • 質問の後、相手が黙ってしまっても焦って次の質問を被せてはいけません。沈黙は、相手が記憶を辿り、言語化しようとしている重要な時間です。

    • もし考え込んでいたりしている場合は、「今は何を考えておられますか」などの声掛けをします。

  4. 具体的なエピソード(5W1H)を聞く

    • 「〜だと思います」という想像や感想は、デザインの根拠としては弱いです。「いつ、どこで、誰が、何をしたか」という過去の事実を引き出してください。

  5. メモには「事実」だけを書く

    • メモを取る際、「ユーザーはこう感じているに違いない」という自分の解釈を混ぜてはいけません。分析時のバイアスになります。あくまで相手が発した言葉(事実)を記録し、解釈は分析フェーズで行います。

リサーチは、プロダクトデザインの土台を作る工程です。まずは身近な5人を対象に、事実に基づいたインタビューを実践してみてください。

今回は、デスクまわりの作業環境を少しずつ整えてきた中で、実際に使っていて満足度の高かったアイテムをまとめて紹介します。

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この記事を書いた人
うえんつ
B2B領域のSaaS・アプリケーション開発などを組織で取り組むことが得意なプロダクトデザイナーで、このブログのオーナーです。
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