workshop-time-management
公開日: 2025.02.07  | 更新日: 2025.02.07

ワークショップのコンテンツは時間が足りないくらいでちょうど良い

私は、ワークショップのコンテンツは時間が足りないくらいのタイムマネジメントがちょうど良いと思っています。今回はその仕組みについて少し言語化を試みようと思います。

「時間切れ」が生み出す緊張感

当然、「時間切れ」への懸念はあります。誰しも、説明を途中で切り上げたり、重要な内容を駆け足で済ませたくはないでしょう。しかし、適度な時間制限は参加者に緊張感をもたらし、これこそが強力な参加の動機づけにつながるのです。

パーキンソンの法則によると、「仕事は、完了のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」とされています。この法則を逆手に取り、あえてタスク完了の時間を短くすることで、限られた時間を最大限に活用しようというのが狙いです。参加者に対して、時間的制約を意識することで、無駄な寄り道や些末な点への固執を避け、集中力を高めることが期待できます。

この適度な緊張感は、参加者の積極性も高めます。時間的制約は、参加者を常に刺激し、活発な発言や質疑応答を促します。限られた時間を有効活用しようとする力によって、参加者はより簡潔で的を絞った質問をするようになり、議論に積極的に貢献しようとします。こうした活発なやり取りが、活気あふれる学びの場を作り出します。

「消化不良」による振り返りの動機づけ

ワークショップ中には消化しきれない部分も当然出てきます。しかし、この「消化不良」こそが、ワークショップ後の学びの原動力となります。参加者は自分のペースで資料を見返したり振り返ることによって知的好奇心を刺激し、興味を持ったテーマを深掘りし、ワークショップの枠を超えて学びを継続します。こうして、学びへの継続的な意欲を育み、ワークショップによる刺激が長期的な活動のきっかけになることもあるのです。

逆に、時間に余裕がありすぎるワークショップを考えてみてください。一見快適そうですが、参加者の集中力は散漫になりがちです。時間に余裕があると、議論が一服して落ち着いてしまい、静寂が目立つようになります。

静寂が続くと積極的な参加へのモチベーションはどんどん低下し、雰囲気を取り戻そうと試みた結果、脱線や無駄な議論に時間を費やす可能性も高まります。結果として、学習効果は薄れてしまうことにつながります。それに、一度失った勢いを取り戻すにも、新たな話題やきっかけがなければ新しい論点を生み出さなければならず、それなりのエネルギーが必要になります。

もちろん、重要なのはバランスです。参加者にプレッシャーを与えるほどの過密スケジュールが逆効果であることは明白です。目指すのは、ポジティブな緊張感であり、過剰なプレッシャーではありません。そのためにも、綿密な計画やシミュレーションが不可欠です。優先度の高いコンテンツを見極め、ステップバイステップで登れるような難易度を調整したり、省略可能な部分やワークショップ後に個別でフォローできる部分を明確にしてことが重要です。それらを補足する配布資料やオンライン教材などを用意すれば、参加者は自分のペースで学びを振り返りやすくなります。

ワークショップは学びのきっかけ作りにすぎない

個人的には、ワークショップで全ての目的を完結できるようにすることがそもそも間違いだと思っています。大事なのは、ワークショップを時間通りに終わらせることではなく、参加者にとって学びを動機づける機会を作ることなのです。いかに参加者が余韻を楽しむことができるプログラムを作れるかが、ワークショップデザイナーの腕の見せ所なのだと思います。


最新の記事を見る
広告
この記事を書いた人
うえんつ
B2B領域のSaaS・アプリケーション開発などを組織で取り組むことが得意なプロダクトデザイナーで、このブログのオーナーです。
今の関心事
Figma・UIデザイン・UXリサーチ・QOL・旅行
広告