WSDレポート10:リフレクションデザイン
この記事は、青山学院大学大学院主催のワークショップデザイナー育成プログラムの課題として、動画形式の講座を受講して筆者個人の考えをまとめたレポートです。今回は「リフレクションデザイン」について書いています。
ワークショップをデザインする際には「リフレクションデザイン」が重要です。リフレクションデザインとは何か?な ぜ、ワークショップデザインにおいて重要なのかをワークショップデザイナーが熟達していくプロセスをもとに説明します。
リフレクションデザインとは?
ここで述べる「リフレクションデザイン」とは、ワークショップの参加者がワークショップの中で行う振り返りのことではなく、ワークショップデザイナー自身が実践者として改善や熟達を考えるための仕組みを考えることを指します。
ワークショップデザイナーは「省察的実践」によって熟達する
ドナルド・A・ショーンによれば、専門家とは「技術的合理性に基づき、原理・原則を現場に適応する存在」ではなく「現場の状況変化に応じて、その都度リフレクティブに意思決定を行い、行為を決めていく存在」とされています。専門家は、それまでの経験を総動員して何らかの行動を起こし、直面する状況に臨機応変に対応し変化をもたらす「リフレクション・イン・アクション」を通じて、場を切り抜けているのです。これを「省察的実践」と言い、省察的実践家たる専門家は、常に実践経験から学びを獲得していると言い換えることができます。そして、コルブの「経験学習モデル」に基づいてその営みを繰り返すことで力量を形成し向上させていくと考えられています。
ワークショップデザイナーは、プログラムとファシリテーションのデザインによって、活動の流れのマッチングと参加者と活動のフィット感を高めながら実施することが求められます。これは、ワークショップは基本的に再現性がなく、限定的で一時的なものであると言う前提があるためです。したがって、型にはめてこなすのではなく、省察的実践者と して「リフレクション・イン・アクション」を通じて実践から学習し続けることことで、常に高いマッチングとフィット感を担保できるようになることが、ワークショップデザイナーとして熟達していくことなのだと考えられます。
「リフレクションデザイン」は熟達の仕組みである
前述の通り、ワークショップデザイナーは省察的実践家として常に実践の中から学びを獲得することで熟達していくと考えられます。その結果、毎回状況が異なるワークショップのなかでも参加者にとってマッチングとフィット感が高いものをアドリブを利かせながら実践することで、質の高い経験に繋げられるのです。したがって、ワークショップデザイナーが熟達するためには、ワークショップデザインの中で学びを得るための仕組みとしての「リフレクションデザイン」が重要なのです。