WSDレポート4:ワークショップの背景理論
この記事は、青山学院大学大学院主催のワークショップデザイナー育成プログラムの課題として、動画形式の講座を受講して筆者個人の考えをまとめたレポートです。今回は「ワークショップって何だ?」について書いています。
中野民夫先生が提唱するワークショップの3つの特徴「参加」「体験」「相互作用」を踏まえて、私が考えたワークシ ョップの4つ目の特徴は「気づき(認知)」です。ワークショップの4つ目の特徴を「気づき(認知)」とした理由を3つに分けて説明します。
1つ目は、ワークショップでは自らの主体的な「参加」によって積極的に取り組むことができる姿勢が不可欠とされており、主体的に「参加」するためには自らの動機を認知することが重要であると考えました。
主体的に参加するための動機づけとして、ワークショップの目的や参加者の属性などの外的な動機と、自分がなぜそこに参加するかといった内的な動機があり、それらを自ら言語化することで、自らが「得たい価値」に気づく(認知する)ことで主体性を獲得するという点で、ワークショップの特徴の一つと言えるのではないかと考えました。
また、動画の講座内で「ワークショップデザイナーの留意点」についても議論されている点が印象的でした。これは、ワークショップには参加者としての立場だけでなく主催側の立場と参加者側の立場に意識を向けることで気づきを得られる仕掛けになっていると思いました。つまり、参加者だけでなく、主催者にも当然ワークショップの参加の動機があり、それを認知することで、立場を客観的にみたフラットな運営につながるのでは思いました。
2つ目は、ワークショップでは頭で考えた言葉だけでなく、五感を通じた「体験」がホリスティック(全包括的)な学びに通じるとされており、「体験」から学びを得るために自分自身が受けた変化や刺激に気づく(認知)ことが重要であると考えました。
中でも、体験の中で生じる学びのサイクル「体験学習法」では体験・指摘・分析・概念化のサイクルの中で獲得した「気づき」が新たな体験を循環的に生み出すとされており、ワークショップを通じて自分の体験を認知するメタ認知の重要性を説明しているという点で、一つの特徴と言えるのではないかと考えました。
3つ目は、ワークショップでは一方向ではなくお互いから学び合う「相互作用」によってシナジーを生み出し、合意形成のための取り組みから他者との違いや分かち合った意見から学び合うとされており、自己の気づき(認知)と他者の気づき(認知)の違いを認知することが重要だと考えました。
これまでに説明した2つの「気づき(認知)」は、自分に矢印が向かっている気づき(認知)に関する特徴でしたが、3つ目では他者に矢印が向かっている気づき(認知)について説明されていると思いました。つまり、参加や体験を通して自分の認知と他者の認知との違いに気づいたり、逆に同じ意見や全く想像もしていなかった観点を気づきを学びとして認知できる機会という点で、ワークショップの特徴であると考えました。